エンターテイメント

現代アートを勉強したりしていると、自分にもアートが出来る気になってくるものですね。最近だときちんと論文を読んだり、難しい文献を読むことも増えてきて、アートに対する知識もそこそこ付いて来たし、多様な作品を見ることによってアート的な感性も以前に比べれば、結構研ぎ澄まされて来たような気がしているのです。それでもって、筆とアクリル絵の具を持って対象に向かって見ましたが、なかなかファンキーで糞汚い絵しか描けませんでした。まぁそんなことはどうでもよくて、僕は今度人をエンターテインする機会に恵まれたので、今一度、「エンターテイメント」を考えて見ることにします

目次

  1. エンターテイメント
  2. メディア
  3. まとめ

エンターテイメント

まずは、語源から辿って行きましょう。

entertain [動詞]

差し挟む, 挟む, 差し挾む, 遇する, 楽しませる, 遇す, 振る舞う, 振舞う, 抱く, 懐く, 持て成す, 相手をする, 取り持つ, 取持つ, 擽る, 擽ぐる(Weblio英和対訳辞書)

Enterは、入ったり入力したりと、”中に作用する”という意味があります。また、-tainは「保つ」という意味がありますので、”中の物を保つ”という意味が転じて、上記のような意味を持ったのだと思われます。それが転じて「人を楽しませる」という一般的に知られた意味へと派生していったのだと思われます。

次に、エンターテイメントの定義から見て見ることにしましょう。

特に演者の技能を鑑賞することを主体とした見せ物出し物余興などを指す語で、スポーツ・舞台演劇・演奏会・公演などを指して言う。(Wikipedia)

「演者の技能を鑑賞することを主体とした…」とあるので、演者の何らかの資質(タレント)を人に見せるという点が、エンターテイメントの本質と一応ここでは仮定します。演者のタレントを人に見せた結果で、人が楽しんだり、悲しんだり、同情したりといった様々な心の中の動きをデザインすることができます。エンターテイメントには必ず人(演者)を介している、人(観客)を対象にしたコンテンツなので、そこには精神的な作用と同時に、メディアのマッサージ能力により肉体的な作用をもたらします。ちょっと難しく言いましたが、要するに芸人がネタをやると、精神的にも楽しみを感じられるし、時に腹を抱えるほど笑っちゃいますよね。TVなんてタダのデジタル信号に過ぎないのに、時に人は腹が痛くなるほど笑ったり、胸が痛くなるほど悲しんだりするように、コンテンツの届けるメッセージは肉体性を伴って身体に影響を与えることができるのです。タレントを持った”演者”が、”観客”に向けて演出されたメッセージ(演者のタレント)を見せているに過ぎないこの現象ですが、今日ではこの現象が生活の中心にあり、人々を魅了し、欲望の対象としての地位を完全に確立しています。もちろんエンターテイメントが生活の中心にある事は今に始まったことではないですが、消費する側と生産する側の力関係が微妙に変化している今日この頃だと思います。そして、今までエンターテイメントを消費する側だった人間の僕が、エンターテイメントを生産し提供する立場となってしまっている今の状況は、最近の時代背景に深く影響されているものだと感じています。最近だと、国民総クリエイターとかお国が騒いでる時代で、誰でも創作意欲さえあれば、インスツルメントとメディアは全て自前で用意できる時代です。電車の両隣の人がクリエイターでもおかしくありません。そんなエンターテイメントが社会に偏在する時代において、そのコンテンツの作り方やノウハウはWeb上で共有できたり、分析できたりする時代です。今こそ、エンターテイメントのクオリティを上げるためのノウハウを、既存のコンテンツから分析していこうではありませんか。

メディア

Ladies and Gentlmen! 本日は、エンターテイメントのドンとして、お茶の間の目線を全て集める大スターのテレビジョン(TV)さんをスタジオにお招きしています!

今や、お茶の間の自堕落を強力に助長する、最強の媒体となったテレビ。人の注意を最大限に引きつける巧妙な番組構成とCMを入れるタイミングは、ある種の完成されたITシステムのように感じます。人を惹きつけて話さないコンテンツは、エンターテイメントとして最強だと思うのです。なので、TVのシステムに倣い、人を惹きつけて止まないコンテンツの作り方を勉強してみましょう。

まずひとつに、TVは「次が気になる仕組み」を作るのが非常に巧妙であると思います。僕はよくTVを見てる時、途中で用事ができてもすぐには動けなかった経験がかなりあります。それは、TVの続きが気になってしまって、その続きを見るまで気になってしょうがないからです。「続きが気になる仕組み」は、エンターテイメントでは非常に大切な要素となっていて、例えば週刊誌の漫画なんて特にそうなのですが、ちょうど次が気になるタイミングで話を終えて、来週の話の期待を最大限に高めています。TVはこの「次が気になってしょうがない」間隔が、短めに設定されていて感覚的に気持よくコンテンツを消費することができます。いわば、面白いマンガを次々と勝手に見せられている感覚に近いと思っています。次が気になるタイミングでTVCMを入れるのも、非常に効果的でTVから目をはなさない状態でTVCMを見せることができます。

次にTVエンターテイメントに習わなければいけない点は、「観客の思考を停止させる」というところです。「クイズ番組とか、ちゃんと考えてるんだけど。」という声が聞こえてくる気がしますが、はいそこのあなたは完全に思考停止してます。思考を停止させるというのは、他の雑念を入れずにそのコンテンツに没頭させる事を言います。そのためには、コンテンツに“ノイズ”や“違和感”があってはいけません。TVを夢中で見てる間は「宿題やんなきゃ」とか「ご飯食べなきゃ」とかそういう感情が奪われてる感覚はありませんか?少なくとも僕はあります。その点で他にもっと強力なメディアがあります。社会的思考能力を取り去り、コンテンツに没頭させるそれで最も強力なものはやはり「ゲーム」でしょう。ゲームの思考停止感は半端ないですよね。やり終わった後に罪悪感に駆られることもしばしばです。こうした「観客を思考停止させる」術というものは、簡単には出来ることではなく、エンターテイメントが”完成されたコンテンツ”である必要があります。それは、どの点を見ても欠点や違和感が無く、観客の欲望を常に刺激していなければいけません。この二つが「観客を思考停止させる」という術の中核を成していると思います。

生コンテンツ

エンターテイメントは、大きく二分するとすると”生”か”それ以外か”に分けられると思います。ここでは、”生”のコンテンツをよく見てみましょう。生コンテンツを上げればキリがないので、僕が経験したことのある「音楽のライブ」を例にあげて考えましょう。(音楽のライブ・・・か。)やはり、ライブで一番大事なことは、“ライブのクオリティ”に他ならないでしょう。楽器体の安定感や旨さも大事ですし、ボーカルの旨さももちろんものすごく大事です。しかし、そこを考えていってもにっちもさっちもいかないので、他の要素で生ライブのエンターテイメントで大切な事を考えてみます。まずひとつに、「主役のカリスマ性」がかなり重要な要素だと考えています。ここでいつも浮かぶのは、浅井健一さんなのですが、他に中高生に有名ドコロだとすると、藤原基央(BUMP OF CHICKEN)さんだったり、野田洋二郎(RADWIMPS)さんとかでしょう。先立って挙げた、タレントを十分すぎるほど持ち合わせてるご尊父様達でしょう。やはり、ライブで才能を発揮できる人とできない人が居ます。そこは完全に才能や資質に依る所が大きいと思います。普段、おとなしくて悶々と生活してる少年が、ギターとマイクを持つとジミヘンのごとく変化する可能性だってありますし、普段オチャラけてよく喋るひとでも、人前でマイクを持つと頭の中が真っ白になる人だって居ます。まとめると、適材適所です。はい。“生コンテンツ”だと特に、“タレントオーラを生で体感できる”という付加価値を付けることもできます。芸能人だって実物を見てみないと伝わらないオーラがありますよね。もう一つ、生コンテンツで重要なことは、“演出”です。まぁ、いわゆるお膳立てですね。いくら浅井健一さんがステージに立っても、照明がベースに当たってたら超台無しですよね。観客も激怒しますよね。ベースちょっとかわいそうだけど。ある程度の、演出の用意周到さと金のかけ具合はかなり大事な要素である気がします。MCもこの部類にはいるのでしょうかね。アノ感動的な前田敦子の卒業スピーチも、秋元康がニヤニヤしながら考えてるのでしょう。(超たぶん)神がかり的な偶然を味方につけるのも、スターの才能であったりしますが、殆どの人がないと思うので、ある種の演出も一枚噛めばエンターテイメントとしてのレベルは一線を超えることが出来ると思います。

まとめ

エンターテイメントをやる。と決意してコンテンツを作る人はなかなか少ないと思います。それも、「俺はエンターテイメントをやっている!」と自覚している人がすくないのでしょう。良いコンテンツを作るためには、まずは自覚が必要だと思っていて、次に作戦、3に努力だと思っていますが、それを人の才能はその方程式をゆうに超えて良いコンテンツを作る事ができます。人の心を演出でシステム的に動かすもよし、タレントの資質を信じていくのもよし、適材適所を見極めて、楽しいエンターテイメントを作れていけたら、今後の人生も楽しくなるんじゃないかなと思っています。楽しい人生を送りたいですね!

 

 

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